根管治療(歯の神経の治療)
根管治療の必要性
歯の神経の所までむし歯が深く進行してしまっている場合や、根の中が細菌に侵されて根の先に膿がたまっている場合などには、歯の根の治療(根管治療)が必要です。適切な根管治療を行うことにより、神経を失った歯を強固に保ち、歯そのものを長い間機能させることが可能になります。
基本的な治療の流れ
歯の根の大切な治療 その①
【抜髄治療】
歯の中には、歯髄と呼ばれる「痛い」とか「しみる」といった知覚を司る神経があります。 この歯髄にまで虫歯(細菌)が到達してしまった場合、細菌感染した歯髄は除去しなければいけません。これを抜髄治療と言います。
麻酔をして虫歯に侵された部分を除去した後、専用の器具(リーマー・ファイル)を使用し、細心の注意と時間を掛けて歯髄を除去します。
その後、特別な症状がなければ神経の代わりになる薬剤(ガッタパーチャポイント)を詰めます。
最後に土台を作り最終的な被せものをして終了となります。
抜髄症例
30代男性 主訴:左下奥歯がズキズキ痛い 診断:左下第1大臼歯 急性化膿性歯髄炎
BEFORE
虫歯が歯髄(神経)に達しており、歯髄を取る(抜髄)処置が必要です。
AFTER
湾曲に追従し、根管(神経の入っていた管)をきっちり拡大しガッタパーチャポイントで緊密に封鎖することができました。
歯の根の大切な治療 その②
【感染根管治療】
抜髄治療が必要な大きな虫歯を治療しなかったり、抜髄処置を最後まで治療せずに放置した場合など、歯の内部が細菌に感染し、歯の根の先から細菌物質が広がり、根の外で病巣を作ります。こうなった場合、根管内の汚染物質の除去と根の先の病巣の治癒を目的とした感染根管治療が必要になります。
※ 治療期間については症状により様々ですが、
感染根管治療の場合、感染物質の除去と、
根の先の炎症が治まらなければ根の中にお薬を詰められないので、
時間が掛かることがあります。
感染根管症例
60代女性 主訴:左下奥歯がたまに腫れて痛む 診断:左下第2小臼歯 慢性化膿性根尖性歯周炎
BEFORE
根尖付近に透過像(黒い影)がみえます。
根の先に膿が溜まっていました。
AFTER
根管内をキレイに消毒することで根尖付近の膿は消え、骨が再生しています。
歯内療法の注意事項
- ※治療開始当初は、「歯が浮いたような感じ」がしたり、「噛んだ時に痛い」といった症状が出ることがあります。
治療が進むにつれて、徐々に落ち着いてきますのでご安心下さい。
(ひどい痛みが続く場合は、ご連絡下さい) - ※細心の注意と時間を掛けて細菌におかされた部分を取り除き、消毒していきます。
この治療は、後の歯の寿命を左右する大切な治療です。消毒が不完全なまま冠をかぶせてしまうと、残った歯が細菌におかされてしまう可能性があります。根の中に薬をつけ替えて、完全な無菌状態にしていきます。 - ※治療を途中で中断したり治療の間があいてしまうと、お口の中の細菌に対して無防備な状態で生活することになります。そうなってしまうと、それまでの治療が無駄になり痛みがさらに大きくなることがあります。
必ず最後まで治療を続けましょう。 - ※これらの治療を数回繰り返し、状態が良くなった時点で固定性の薬を根の中に入れ、完全に密封し、最終的な土台をたて、冠をかぶせていきます。
根管治療のラバーダム防湿法について(ゴムシートのマスク)
通常、口内の唾液1mlあたり数億匹の細菌がいるものです。
根管治療を行う際に、根管内を可及的に無菌化するために、だ液や血液が根管に触れないようにする必要があります。
ラバーダム防湿法の目的
- 無菌的な処置(根管に細菌をいれない為)
- 乾燥状態を保持
- 施術を的確に行える
- 治療する歯の周囲組織の保護
- 根管治療で使用する鋭利な小器具、薬剤、消毒剤の誤飲防止
など様々なメリットがあります。